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【東京・厳選】十四代が飲める蕎麦屋めぐり|銘酒と蕎麦が織りなす至福の瞬間

幻の酒「十四代」と静寂の蕎麦屋──東京で出会った、忘れがたい時間

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日本酒好きなら、一度は耳にしたことがあるだろう。「十四代」という銘柄を。

その名を冠した酒は、芳醇でいて透明感があり、香り高く、それでいて一滴の雑味もない。全国の酒販店でも入手困難で、しばしばプレミア価格がつく。そんな“幻の日本酒”を、気負うことなく、蕎麦と共に静かに味わえる場所が東京に存在する。

今回は、十四代と蕎麦という、極めて日本的な二つの美が出会う瞬間を記録にとどめたく、3つの蕎麦屋を訪ねた。それぞれが持つ空気、香り、味わいが、心にそっと残る体験だった。

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■ ゆき庵(御徒町)

上野の喧騒を抜けた静かな通りのビル地下にひっそりと構える「ゆき庵」は、落ち着いた佇まいが印象的な新進気鋭の蕎麦屋だ。
品書きの隅に「十四代 中取り 上諸白」の文字を見つけたとき、心がふっと高鳴った。

一杯3,000円──決して安くはないが、適正価格で管理の行き届いた十四代をいただける希少な場だ。グラスに注がれた酒は、ふわりと米の香りが立ち上がり、喉をすべるように消えていく。華やかさと繊細さ、そして潔さが、ひとつに融合した味わいだった。

蕎麦は細打ちで、江戸前のやや辛口のつゆとともに供される。十四代の余韻を引き継ぐようにすすれば、思わずため息が漏れるほどの幸福感が口いっぱいに広がる。

■ 明神そば きやり(神田明神前)

明神そば きやり 箸袋と酒

神田明神に参拝した帰り道、偶然立ち寄ったのが「きやり」だった。
“明神そば”の看板に気圧されず、静かな趣を湛えるその佇まいに、どこか惹かれるものがあった。

この店でも、十四代が供されていた。グラスになみなみと注がれたその透明な液体に、心がすっと引き込まれる。あてには、甘辛く炊かれた昆布とイカの小鉢。濃すぎず、優しすぎず、ちょうど良い温度感で十四代に寄り添う。

ざる蕎麦と薬味

蕎麦は挽きぐるみ。香り高く、歯ごたえも心地よい。十四代のやわらかさと、蕎麦の素朴さ。まるで和の調べのように響き合う、この相性の良さは、偶然ではなく計算された「静かな贅沢」だと感じる。

■ 手打ちそば 心洗庵(御徒町〜上野間)

心洗庵 十四代と箸袋

御徒町と上野の中間あたり、少し喧騒を離れた静かな路地にひっそりと佇む「心洗庵」。
その名のとおり、どこか心を清めてくれるような、静謐な空気が店内に漂っていた。

ここでも十四代に出会うことができた。泡立ちすらも美しいグラス。味わいは極めて軽やかで、香りと旨味のバランスが完璧。心洗庵の空気に溶け込むような、そんな酒だった。

酒器を手に取り、木目の美しいテーブルに目を落とす。そこには言葉では言い表せない「整った時間」が流れている。

■ まとめ

「十四代」という酒には、ただの“希少性”以上の魅力がある。
それは、思いがけず出会えたときの喜び、そしてその味が記憶に残していく“静かな感動”に他ならない。

東京の片隅、観光地のすぐそばに、そうした感動をさりげなく提供してくれる蕎麦屋が存在している。派手な広告も、SNS映えもしないが、確かにそこにある“贅沢な一杯”。

次の週末、少しだけ早起きして、十四代と蕎麦を楽しむ小さな旅に出てみてはいかがだろうか。

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