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【上野 藪そば】老舗の風格と静けさに浸る、蕎麦と一献の昼下がり

やぶそば
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上野藪そばで江戸の老舗蕎麦を味わう|120年続く名店訪問記

上野にある老舗蕎麦店『上野藪そば』。創業は明治25年(1892年)という120年以上の歴史を誇り、地元で長く愛されてきた江戸蕎麦の名店です。週末の昼下がりに訪問した、その様子をレポートします。

風格漂う、老舗の店構え

『上野藪そば』はJR上野駅から徒歩3分ほど。アクセスも良好ながら、大通りの喧騒からは少し離れた場所に静かに佇んでいます。店先に掲げられた風格ある看板や、藍色の暖簾が、歴史の長さを物語っていました。
お店に到着した時には既に数人が並んでおり、その人気ぶりに期待が高まります。

「藪蕎麦(やぶそば)」は、更科・砂場と並ぶ江戸三大蕎麦の一つ。その本家である神田藪蕎麦から暖簾分けされたのが、ここ上野藪そばです。明治時代から続く店内は、木の温もりを感じる凛とした和の空間。一歩足を踏み入れると、外の喧騒が嘘のように遠のいていくのを感じました。

蕎麦前で過ごす、粋なひととき

席に通され、まずは生ビールを注文。蕎麦屋で料理を待つ間に一杯やる「蕎麦前」は、江戸っ子の粋な習慣です。すぐに、あの細長い特徴的なグラスに注がれた美しい一杯が運ばれてきました。昼下がりから始める一杯は格別で、老舗の落ち着いた空間でいただくビールは、また格別の趣があります。

ビール

いざ実食、伝統の「天せいろう」

今回注文したのは、人気メニューの「天せいろう」。揚げたての天ぷらでビールを楽しみ、締めにせいろをいただく。そんな贅沢な時間を過ごすことに決めました。

まずは揚げたての海老天から。衣は驚くほど軽くサクサクで、噛むとプリプリとした海老の食感と甘みが口いっぱいに広がります。ビールとの相性は言うまでもありません。

天ぷらを堪能した絶妙なタイミングで、主役のせいろ蕎麦が運ばれてきました。細打ちの蕎麦が黒塗りの四角いせいろに上品に盛り付けられています。まず蕎麦だけを一口。細めながらもしっかりとコシがあり、喉越しも滑らかで、蕎麦の香りがふわりと鼻を抜けていきます。

続いて、キリッと辛口のつゆに少しだけ蕎麦を浸していただきます。鰹だしが効いた江戸前らしい濃いめのつゆが、蕎麦の風味を一層深く、力強く引き立てます。

蕎麦をすすり、天ぷらを頬張り、ビールで喉を潤す。それぞれの味が互いを高め合う、まさに至福の瞬間でした。

美術館のような静寂の中で

客層は落ち着いた年配の方が中心のようです。誰もが大声で語り合うこともなく、それぞれのペースで静かに蕎麦と向き合っています。ガヤガヤとした喧騒とは無縁の、ただ蕎麦と真摯に向き合う時間。それはまるで、美術館で一点の名画を鑑賞しているかのような、研ぎ澄まされた空気が流れていました。

蕎麦を平らげた後は、蕎麦湯で締めくくります。残ったつゆに注ぐと、ほっとする温かさと共に蕎麦の香りが再び立ち上り、最後まで余韻を楽しむことができました。

まとめ:日常の中の、贅沢な時間

「上野藪そば」は、単に美味しい蕎麦を味わうだけでなく、120年以上の歴史が醸し出す“空気”そのものを楽しむ場所でした。老舗の看板に違わぬ味と雰囲気を存分に堪能でき、大満足の訪問となりました。目まぐるしい日常から少しだけ離れて、伝統の味に舌鼓を打つ。そんな贅沢な時間が、ここには流れています。

店舗情報:上野藪そば 本店

  • 住所: 東京都台東区上野6-9-16
  • アクセス: JR上野駅から徒歩約5分
  • 営業時間: 11:30~21:00
  • 定休日: 水曜日
  • 公式サイト: https://www.uenoyabusobasouhonten.com/
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